作品紹介-39 「南区保健福祉センター

㈱真建築研究所




■ 設計趣旨
   この建物は、平成20年度に南区が策定した、「地域福祉計画」及び「地域福祉活動計画」を基
  に計画した、12の地域で構成される南区の健康づくりの施設であると共に、福祉の活動拠点とし
  ても利用できる施設です。
   具体的には、地域住民の健康診査・健康管理、また、乳幼児の健康診査や歯科検診などの活動が
  行なえる施設であり、且つ、障がいのある人もない人も、子どもから高齢者まで誰でも気軽に利用
  でき、人と人との出会い・ふれあいの場を支援する施設です。

■ 計画概要
  ・ 配置計画
    敷地は、南区のほぼ中央に位置し、国道8号線の西側に面しているため、左折進入左折退出等
   による交通渋滞の緩和対策に努めました。
    敷地の北側を駐車スペースとして、北側の住宅街の日影による影響に留意し、西側に隣接する
   児童センターとの間にできるスペースは、プロムナードなスペースとなるよう、仕上げ材や植栽
   計画を検討しました。


         配 置 図
            キャノピー外観

 ・平面計画
   この建物は、3階建てですが、基本的に1~2階の中央を吹抜けで空間をつなげ、人と人がふれ
  あう賑わいのある空間とし、3階には、多目的ホール等を配置させ、どちらかと言えば静的なスペ
  ースとして位置付けし、次のような要求された諸室を各階に配置しました。
       1階:茶の間スペース、調理実習室、ボランティアセンター
          管理諸室等
       2階:問診検診室、計測診察室、歯科指導室
          小研修室等
       3階:多目的ホール、中研修室等

           平 面 図

 ・ 構造計画
    建物形状を把握し、偏心の少ない架構形式に留意し、特に、吹抜け部分の架構計画については
   十分考慮した設計としました。
    梁間方向、桁行方向共、壁量が少ないのでルート3の設計となり、保有水平体力の検討を行い、
   耐震安全性の分類がⅡであるため、I=1.25にて安全性を確認しました。
    ルート3を適用する建築物は、壁量が少ないため、大地震時に骨組の各所に曲げ降伏を生じ、そ
   の曲げ降伏部の履歴エネルギー吸収能力により耐震性を発揮する建物なので、柱・梁部材及び柱梁
   接合部には大きな変形能力が期待されるので、十分な靭性設計としました。

 ・ 電気設備計画
    基本方針
    ① 社会性(気軽に訪れたくなる空間作り)
      均等な照度分布、低輝度化、色温度の適正配置による演出効果。
    ② 環境保全、経済性(省エネ、省資源化)
      高効率機器(変圧器、照明器具等)の採用。
      昼光利用照明制御、時間帯別照明制御、各室点滅状態管理及び制御システムの採用。
      ポリエチレンなどを利用したエコマテリアルケーブルの採用。
      自然エネルギーを利用する太陽光発電設備の採用。
    ③ 安全性(緊急時のシステム、緊急避難施設としての機能)
      誘導音付加点滅形誘導灯の採用。
      聴覚しょうがい者用非常時警報表示設備の採用。
      災害停電時、故障停電時における必要最小限の施設機能の確保。
    ④ 機能性(インフォメーション、バリアフリー)
      来館者への館内案内用インフォメーションボードの採用。
      視覚しょうがい者用音声識別ガイドシステムの採用。
      難聴者用集団補聴システムの採用。

 ・ 機械設備計画
    基本方針(省エネルギー及び新技術の提案)
    ① 個別空調の採用
      本建物の利用方法は、各室が独立した使用方法で且つ毎日全館一斉利用する頻度が少ない
      ため個別空調方式を採用し部屋の利便性に対応しました。
    ② 地中熱の利用
      自然エネルギーの地中熱を利用し毎日使用する事務室に対して冷暖房を行い、同時にCO
      2削減を図りました。
    ③ 強制対流ファンの採用
      天井高の高い3階多目的ホールに対して天井面にたまる熱気を強制ファンで対流を起こし
      暖冷房効率を上げました。
    ④ 脱臭設備の採用
      オゾンによる局所脱臭システムを採用し、各階トイレ・授乳コーナー・調理実習室等に設
      置し、建物の室内環境の維持につとめました。

■ 建築概要
   ・ 建設場所 新潟市南区白根1372番地  ・用途地域 第二種住居地域
   ・ 防火指定 指定なし 22条区域     ・主要用途 集会所
   ・ 敷地面積 3,816.58 m2
   ・ 建築面積 1,437.38 m2     ・延床面積 3,263.38m2
   ・ 構造規模 RC造 3階建て
   ・ 主要外部仕上げ
         屋  根 :屋根保護防水密着断熱工法(AI-2)
         外  壁 :コンクリート打放し
               コンクリート打放し補修複層塗材E吹付け
               一部、磁器質150角タイル張り
         開 口 部 :アルミサッシ  
         キャノピー:アルミハニカムパネル
   ・ 主要内部仕上げ
         一  般 :床~ビニル床タイルt=2.0 壁~ビニルクロス
               天井~吸音用穴あき石膏ボード
         茶の間スペース、多目的ホール等 :
                 床~フローリング t=12.0
                 壁~天然木化粧合板、ビニルクロス
                 天井~ロックウール化粧吸音板
   ・ 外  構
         駐車場、構内通路 : 浸透性アスファルト舗装
         ロータリー及び歩行者専用道路 : 浸透性インターロッキング舗装
         そ の 他    : 駐輪場・雨水排水設備・植栽
   ・ 電気設備
         設備方式 : 屋内閉鎖式キュービクル型
         設備容量 : 変圧器 電灯 動力 非常電灯変圧器
         項  目 : 電灯コンセント・電話・拡声・電気時計テレビ共聴
                監視カメラ・自火報・視覚障害者用誘導支援設備
                機械警備用配管
   ・ 空調設備
         設備方式 : GHP 床暖房
   ・ 衛生設備
         給水設備 : 受水槽(7.5m3)+加圧ポンプ方式
         排水方式 : 公共下水道
         ガス設備 : 都市ガス    ・消火設備 : 屋内消火栓設備

■ 設計・監理
     ※基本・実施設計  意匠 ㈱真建築研究所 (チーフ)
                  ㈲像設計事務所
                  余湖建築設計事務所 (実施設計)
               構造 ㈲堀設計室
                  礎建築設計事務所  (実施設計)
               電気 涌井電気設備設計室
               機械 ㈱ホープ設備設計事務所
                  ㈲シナダ設備設計  (実施設計)
     ※監理       意匠 ㈱真建築研究所 (チーフ)
               構造 ㈲堀設計室
               電気 涌井電気設備設計室
               機械 ㈱ホープ設備設計事務所