作品紹介-35-1 「新関小学校校舎・屋内体育館改築工事

(㈱)鈴木設計企画


新関小学校(東面からの全景)

【建築概要】
敷地面積   21,682.99m2

■校舎
建築面積   1,388.05m2
延べ床面積  3,294.32m2
構造・階数  鉄筋コンクリート造 3階建

■体育館
建築面積   1,001.02m2
延べ床面積   948.06m2
構造・階数  鉄筋コンクリート造 2階建

工事場所   新潟市秋葉区下新地内
工事期間   平成21年7月7日~平成22年7月10日
■付近見取り

■全体完成予想図

■全体配置計画

1.計画要旨について
 既存の校舎及び屋内体育館は、木造でその大部分が築後70年を経過しており、施設の老朽化が著しいことから、校舎・屋内体育館等を全面改築し、地域に開かれた学校施設としての教育環境の改善を図ることでした。

2.基本条件である立地条件について
 計画地は、新潟市秋葉区の南東部に位置し東側に阿賀野川、早出川、西側に能代川があり北東部には磐越自動車道が走っています。また、周囲が水とみどりで囲まれたのどかな田園地帯となっており自然豊な地域でもあります。また、五泉市との市境にあり五泉市からの児童も通学する学校区となっています。

3.計画としてのポイントについて
 建替えにあたり広い敷地をいかに生かし、隣接してコミュニティセンターが計画されるため、アプローチも含め配置計画が重要な課題とされました。特にこの地域は風が強く、校舎の向きなども検討要素となりました。

1)周辺環境への配慮について
 周辺は田園地帯が多く、特に建物による日影の影響に配慮することが重要である。そのため、建物高さを低く抑えることに加え、建物周囲に樹木植栽帯や駐車場を設けることで、境界から建物までの距離を保ち、周囲に日影による影響を及ぼさないようにする。   ここは通年において風の強い地域であり、グラウンド及び野球場が東側道路に面している。そのため、周囲には飛砂およびボールの飛出し対策として、防球・飛砂ネットを設ける。

2)敷地の有効利用と建物の効果的な配置について
 当敷地は、コミュニティセンター(以下コミセン)と小学校を同一敷地内に計画するため、敷地の有効利用が特に求められる。そのため、コミセンと校舎棟、屋内体育館棟、プールを分散させるのではなく、一連の並びで配置する。これにより、敷地の有効利用に加え、各施設間の効果的な連携が図られる。建物群は南からの採光を意図し敷地北側に配し、その中でもコミセンはアプローチを容易にするため、東側道路に面した位置とする。児童の敷地へのアプローチは通学圏が広域のため、主要道路に面する東側と南側の2方向とする。グラウンドは100m直走路、200mトラック、野球場を確保する上で最大限となるよう有効な配置とする。

3)安全性・ユニバーサルデザインへの配慮について
 建物群を敷地北側へ寄せることで、校舎内から敷地全体を見渡すことができる。これは不審者対策の他に、児童の屋外活動中の安全管理の上でも有効となる。さらに不審者対策として敷地周囲は囲障フェンス等を配置する。敷地へのアプローチは安全性に配慮し、歩車道分離を原則とする。自動車は東側道路からのアプローチに限定し、さらにコミセン一般利用者用と学校来客用を分離する。児童が通行する校門から前庭広場、児童玄関に至る経路は、ユニバーサルデザインに配慮し、段差の無いものとする。


4.地域の宝さがし
 歴史のある木造校舎のいたるところにシンボリックな細工が施してあり、反りの入った屋根や円型のくりぬきと竪スリットであしらった正面の妻壁、また旧体育館の天井から吊り下げられたステージ幕板デザインなどを化粧として取り入れることで計画しました。いわゆる地域の伝統である既存校舎のディテールを継承することが、何より重要な宝と位置づけるものとしました。


【旧校舎ファサードをイメージした外観】


【地産杉を採用した玄関ホール】          【ホールへ取付けた幕板】

最後に設計チームに加わった皆さんには多大な協力をしていただきましたこと、この場をお借りしお礼申し上げます。

■校舎設計チーム
意匠 (株)鈴木設計企画・アズマ建築設計・倉沢建築設計
構造 (株)SU建築設計・礎建築設計事務所
電気 (有)総合設備設計
機械 (株)ホープ設備設計事務所・(株)CADシステムIPE

■屋内体育館設計チーム
意匠 (株)鈴木設計企画
構造 (株)SU建築設計
電気 (有)総合設備設計
機械 (株)ホープ設備設計事務所